カイロプラクティックの問題点

 カイロプラクティックの問題点は、法制化されていないために誰もがカイロプラクターを名乗ることができることによって、3ヶ月講義のみから2年間の短期養成学校まで民間資格を得た未熟な施術者が増え、過度の頚椎アジャストメントによる事故がおきるようになった。それかから、前述の通り厚生省はカイロプラクテック各団体に対して「医業類似行為に対する取り扱いについて」を通知し、その中に禁忌対象疾患の認識や危険な手技の禁止を指摘した。これにより各団体により自主規制が設けられることになった。

 しかし、未だにカイロプラクティック業界には、統一した資格制度と法制化が望まれている。国際基準のカイロプラクティック教育はCCE(Council on Chiropractic Education カイロプラクティック教育評議会)という第三者教育認定機関が定めた、最低全日4年制4200時間以上の教育であり、それ以下のものはWFCおよびWHOは正式なカイロプラクティック教育とみなさず、卒業生も「ドクター・オブ・カイロプラクティック」や「カイロプラクター」と呼ばれないのが現状である。そのため、法制化された国だけに関わらず、法制化されていない国々でもCCE基準の「国際基準カイロプラクティック教育」を遵守する教育機関が多くある。

 業団体の意思の統一が図られることが急務ではあるが、現状ではかなり難しい。現在でも、厚生労働省はカイロプラクティックの法制化には全く動いておらず、資格化の実現にはそれ相応の時間がかかると思われる。平成16年度 保健所行政の施策及び予算に関する要望書(全国保健所長会)においては、「整体術(カイロプラクテック)やエステティック等の施術類似行為に対し早急に法的規制、管理指導を引き続き強化されたい」との要望が出されている。

 今現在、ほとんどの学校が短期で卒業生を排出している事実は変わらず、カイロプラクティックを業となすものの社会的地位の低下を生んでいる最大の要因である。教育状況も数ヶ月のものから2年制パートタイムのものまで他所多様の教育機関が存在し、一言にカイロプラクターといっても知識、実力とも雲泥の差があるのは否めない。そのような状態で人間の健康の回復を業とすることが如何に困難なことか容易に創造が出来る。

 しかし最近の動きとしては、世界80カ国からなるカイロプラクティックの国際団体、WFC(世界カイロプラクティック連合)が1988年に設立され、1997年には国連の一機関であるWHO(世界保健機関)のNGO(非政府組織)に正式に承認されることとなった。WFCは団体加盟制であり、その代表団体の会員資格を有するのは一般に D.C. といわれる国際基準のカイロプラクターもしくはそれに準じた教育を受けた(例えばChiropractic Standardization Program修了)者である。WFCの日本代表団体はJAC(日本カイロプラクターズ協会)であり、1999年に加盟している。

 日本国内でも国際基準の教育機関が次々と開校している。1995年には初の国際基準校として東京にオーストラリア公立大学であるRMIT大学日本校カイロプラクティック学科が開校し、アジア初の学校としてCCE認定を受けている。2006年には大阪の国際カイロプラクティックカレッジが開校する予定である。

 この資格保持者の呼び名は「ドクター・オブ・カイロプラクティック」(略してDC)もしくは「カイロプラクター」ともいう。
 2006年、WHOはカイロプラクティックに関するガイドライン「WHO guidelines on basic training and safety in chiropractic」を発行した。これによりWHOが定めるカイロプラクティックの国際基準というものがより明確になった。

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